倒産企業分析
サイエンステクノロジー株式会社が自己破産申請 07/05/30
倒産企業:サイエンステクノロジー株式会社
業種:半導体装置メーカー
資本金:284.50百万円
上場形態:非上場
報道によると、「財務リストラを進めていたが業績不振に陥り過剰借入が解消できず2007年5月初旬に資金繰りが悪化し信用不安が拡大し、取引先などに支援や協力を要請したが不調に終わり事業継続を断念した」という。
資金繰り悪化の原因は、何でしょうか?業績悪化が主な原因でしょうか?
業績悪化も1つの原因ではあると思いますが、一番の原因は売上債権、棚卸資産と買入債務のバランスの悪化ではないでしょうか。製品を作り始めてからお金を回収するまでの期間が、原材料等を支払うまでの期間より約9か月長いです。ということは、日常の運転資金のほとんどを銀行借入等で補っていたという状況を意味しております。
このようなバランスの悪化した原因は、以下の3つが考えられます。
@ 入金条件が悪化
A 粉飾決算
B 棚卸資産の不良化
1つ目の原因においては、取引先が大手メーカーも多く入金条件が大幅に変更になるという可能性は低いと思われます。そのように考えると、主な原因は2つ目と3つ目であると考えるのが妥当ではないでしょうか。
Aの原因ですが、売上高が大幅に減少しているにもかかわらず売掛金が大幅に増加しているということは損益計算書を良くみせるための粉飾を行っているのではないかという疑念が浮かび上がってくるのではないかと思います。また、Bですが前年より棚卸資産が増加しており売上が減少しているにもかかわらず棚卸資産が増加しているということからBのような状態であるとみなすことができると思います。
以上のようなことから売上債権、棚卸資産と買入債務のバランスを検証することは、企業財務状況と粉飾決算を見極めるのに有効なのではないかと思われます。